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進化するミュージアム 「進化するミュージアム」って何だろう?
ミュージアムという言葉は、紀元前300年頃の古代エジプト・プトレマイオス王朝の首都アレキサンドリアにあった総合学術機関である「ムーセイオン」に由来しています。ギリシャ語で芸術や学問をつかさどる女神たちムーサ(ミューズ)の殿堂という意味を持っています。本来は、私たちが言う博物館や美術館だけではなく、科学技術館、文学館、記念館などその範疇とされています。そして、その役割は、価値のある美術品や学術資料などの文化財を、収集保存し、研究すると同時に、来訪者に幅広く知識を提供できるように展示をし、公開をすることです。
現在では、様々な分野のデジタル技術を背景にして、文化財の保存や研究に新しい方法や考え方が活用されてきています。同時に、我々の旺盛な知的好奇心の高まりに応えて、より正しく、より分かり易いデジタル技術を用いた展示手法の研究開発も進んできています。これら最新のデジタル技術より新たに創出された「デジタル文化財」は、貴重な文化財を身近にし、直に学ぶことに貢献をすると同時に、守るべき文化財の継承意義を知る<新たな文化資源>として期待をされています。
「進化するミュージアム」とは、それらの体験を可能にする、新しいミュージアムの姿です。このシンポジウムでは、その一端や未来像を探ります。
シンポジウムスケジュール
第一部基調講演13:00~13:25

デジタル技術がひらくミュージアムの未来像
青柳正規 国立西洋美術館 館長
青柳正規館長
第二部記念講演13:30~17:00
デジタル文化財の可能性を考える
最新デジタル技術の実例や開発の紹介を通し、デジタル技術による文化財へのアプローチやミュージアムでの活用、さらにデジタル・ミュージアムの可能性や未来像を探る。
デジタル技術が解き明かす文化財の新しい事実と最新の見方、見せ方

13:30~

池内克史 東京大学大学院情報学環 教授
池内克史教授
文化財のすべてを数値化していくデジタル技術の開発は、今や巨大な対象物を丸ごと計測すること、そして人には見えないものの正しい再現を可能にしている。この技術が「アンコール遺跡バイヨン寺院」「九州・王塚古墳」「古代ポンペイ遺跡」といった遺跡のかつての姿を再現し、私たちの疑問に答えてくれる。
※VR『アンコール遺跡 バイヨン寺院 尊顔の記憶』の上映。
バイヨン他
よみがえった三角縁神獣鏡にアナタの顔が映る
14:20~

村上 隆 京都国立博物館 保存修理指導室長
村上隆室長
古代の青銅器を代表する三角縁神獣鏡。その制作技術そのものが古代の謎の一つである。レーザー光計測によって精密に得られた3次元形状データに、成分分析をもとに復元された金属の色情報を載せると、見事に古代の輝きがよみがえった。そして、計測データをもとに実際に再現された鏡面を覗くと、 そこに映るのは・・・。
※再現された「三角縁神獣鏡」を用いてのデモンストレーション。
三角縁神獣鏡
無形文化財のアーカイブス、伝統芸能の記録と再現
15:20~

源田悦夫 九州大学大学院芸術工学研究院 教授
松永孔梨子 九州大学感性融合デザインセンター
源田悦夫教授&松永孔梨子さん
伝統芸能の再現には、仮想身体の形状や動きの記録が制作が基本となる。豊かな表情を持った人間の再現や作品化には、人体のデジタル計測物理シミュレーションなどとともに、芸術的な感性をもった取り組みが重要である。歌舞伎を対象にした、見栄の運動の記録、化粧シミュレーションなどの映像や原寸大模型がその成果の一部である。
歌舞伎シミュレーション
神秘に満ちた眼差し、興福寺・阿修羅像をもっと身近に知る

15:50~
阿修羅像にこめられた思いとは?
金子啓明 慶應義塾大学 教授、興福寺国宝館 館長、
東京国立博物館 特任研究員
金子教授
阿修羅像の三面の表情は、それぞれ異なっており、とても繊細で複雑な心理描写は人々を魅了する。デジタル三次元計測は、三つの顔の違いを細かなところまでデータ化し、再現することを可能としている。バーチャルリアリティーは、これまで必要とされてきた、実物に限りなく近い「仮想展示」を実現する。
※VR『よみがえる興福寺中金堂』『阿修羅像』の上演。
VR阿修羅写真

CTスキャナーによる1270年目の健康診断
今津節生 九州国立博物館 環境保全室長
今津室長
幾多の災害を乗り越えて現在まで継承されてきた阿修羅像は、文化財専用の大型CTスキャナーを使って初めて健康診断を受けた。CTスキャナーから得られた歪みのない立体デジタルデータは、阿修羅像の外観ばかりか像内部の状態も手にとるように映し出したこのデータは、文化財を守る情報になると同時に脱活乾漆像の製作技法をはじめ、デジタルアーカイブデータとして、多方面の活用が期待される。
※脱活乾漆・阿修羅像の内側を見ることができるモデルの紹介。
阿修羅断面図
ロビーミニ展示
講演に関わる内容も含み、来訪者が直に見ることができるものを若干展示致しますのでデジタル文化財の可能性をお楽しみください。


シンポジウムのまとめ16:45~

吉見俊哉 東京大学大学院情報学環 教授
吉見俊哉教授
主催・講演・協力
・主催: 一般財団法人デジタル文化財創出機構 朝日新聞社
・後援: 文化庁 経済産業省 東京国立博物館 京都国立博物館 九州国立博物館 国立西洋美術館 財団法人デジタルコンテンツ協会 CG-ARTS協会(財団法人画像情報教育振興協会)
・協力: 凸版印刷株式会社 ソニー株式会社



VR作品『阿修羅像』/製作・著作:朝日新聞社・凸版印刷株式会社、総監修:法相宗大本山興福寺、監修:金子啓明 鈴木嘉吉

VR作品『アンコール遺跡バイヨン寺院 尊顔の記憶』/製作・著作:凸版印刷株式会社、監修:今川幸雄、計測データ:東京大学大学院 池内研究室、写真:BAKU斉藤、協力:カンボジア王国アプサラ機構、日本国政府アンコール遺跡救済チーム、日本航空


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ここから『進化するミュージアム2010』のチラシがダウンロードできます。このチラシをプリントアウトしてご持参いただきますと、開催日の12時より優先入場できます。

進化するミュージアム開催要項
■日時: 2010年11月5日(金)
13時〜17時
(12時30分開場)
■会場: 有楽町朝日ホール
〒100-0006 東京都千代田区有楽町2-5-1
有楽町マリオン11階
■入場: 無料

会場アクセス
会場地図
■下車駅: JR有楽町駅

東京メトロ銀座駅
C4出口

東京メトロ有楽町駅
D8、D9出口

各出口より徒歩1~2分。
※有楽町マリオンホール入口映画館チケット売場横のエレベーターで11階
お問い合わせ
一般財団法人デジタル文化財創出機構
〒112-0005 東京都文京区水道1-3-3
03-5840-2515
query@digital-heritage.or.jp