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文化資源活用の意義について理解を広める場づくりの一環として企画した「文化資源の愉しみ方」シリーズ。その第1弾として開催する『響夜学(ひびやがく)~経営と文化のいい関係を考える(全3回)』がいよいよスタート、第1回講演には、尾張徳川家第22代当主であり徳川美術館館長である徳川義崇氏を迎え「文化を守るには」と題した講演会を開催しました。
冒頭、通常このような講演会では「文化を守る」というテーマで話すことが多いと語る徳川義崇氏。今回はそこに「には」という言葉を付け加えたタイトルになっていることをポイントに置き、講演ははじまりました。 |
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徳川美術館は、義崇氏の曾祖父にあたる徳川義親氏が昭和10年に開館した美術館で、徳川家康公の遺品を中心に、代々の遺愛品や、家族が実際に使用した1万件あまりの収蔵品を有しています。世界的にも有名な国宝「源氏物語絵巻」をはじめ国宝9件、重要文化財59件、重要美術品46件を含み、徳川美術館ならではの豊富さ、質の高さ、そして保存状態の良さを誇っています。講演前半は、徳川美術館や徳川の歴史/歩みを中心に話が展開、特に美術館創設者である義親氏の考え方や取り組みを丁寧に、ときにユーモアを交えながら紹介していきます。
文化とは何か。辞書を紐解くと、そこには、ある括りの中で、共通の認識や様式であると書かれていると義崇氏は語ります。大名文化とは、大名という共通の括りの中で認識されていたもの。また、大名という存在は、当時のビジネスシーンで一通りのたしなみを身に付けておかなければならなかった存在である、とも。そういう身分の人は今の時代はもういないため、大名文化そのものが過去の文化であり、それがどんなものだったのかをきちんと説明できる形で残して行かないと誰も語れなくなってしまうと、美術館創設の背景が語られました。
日本文化を守ろう!や、大名文化を守ろう!と、手を振りかざしても何も守れない。それ以前にやらなけれなならないことは、社会を守ること。すなわち社会が平和であることが大切であり、文化財を守る、文化を守る、ということを通じて、平和の大切さを知ってもらいたかったのだと義崇氏は語ります。個人のチカラで平和にできる範囲は限られるかもしれないが、住んでいる街くらいであればなんとかなるのではないか。安心して暮らせる街づくりのためには地域コミュニティを活性化することが大切で、そのキーワードが「祭り」だと義崇氏は強調します。地域の人たちは老若男女問わず「祭り」に誇りをもっている。祭りというキーワードで頑張ろうと思える。祭りが各地でひろがれば結果として平和な社会になる。文化の継承には平和がもっとも大切であり、それが文化を守るということなんだと義崇氏の強い心持ちが述べられました。
まだまだ話の展開が終わりを迎えない中、時間の関係で講演は一旦終了。その後の懇親会でも、引き続き興味の尽きない来場者との交流が和やかにはかられました。 |
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